自動車運転業界における2024年問題とは?役員運転手への影響を解説

公開日:2024/10/15   最終更新日:2024/07/30


タクシードライバーやトラックドライバーへの影響が大きいとされる2024年問題ですが、役員運転手も2024年問題の影響を受ける職種のひとつです。今回は2024年問題の概要や役員運転手への影響、役員運転手に必要な具体的な対策について詳しく解説します。役員運転手として働いている人は、ぜひ参考にしてください。

2024年問題とは?

役員運転手を含む自動車運転業界では、2024年問題の影響が広がっています。

ここでは、2024年問題の概要について詳しく解説します。

2024年問題の概要

2024年問題とは、主に自動車運転業界における残業に対する改正改善基準告示によって起こる影響です。残業制限については働き方改革として数年前から規制が開始されており、自動車運転関係の物流業界・運送業界以外での働き方にも影響を与えています。

2024年4月からは、自動車運転関係の仕事にも、時間外労働の上限規制が適用されました。適用対象となるのは、役員運転手やトラック運転手のほか、タクシー運転手、ハイヤー運転手、バス運転手などです。

残業時間がオーバーした場合には罰則規定が適用されるケースも

先述の通り、2024年問題と呼ばれる残業に対する改正改善基準告示では、年間の残業時間について上限が決められています。これまでの自動車運転関係の仕事では、労働基準法36条、いわゆる36協定の特別条項を抜け穴としていました。

しかし、2024年の4月から適用されている告示では「残業時間の上限規制を超えて残業した際には罰則規定として6ヶ月以下の懲役、もしくは30万円以上の罰金が課せられる」とされています。

2024年問題が役員運転手におよぼす影響

2024年問題により、役員運転手には大きく分けて3つの影響が及びます。この影響は、メリット・デメリットのどちらの側面も持ちます。

そのため、どのような変化があるかをしっかりと把握することが重要です。具体的な影響は、以下の通りです。

残業時間が規制される

改正改善基準告示によって発生する大きな影響として、残業時間の上限設定が挙げられます。残業時間が1か月あたり45時間、年間360時間を超えた場合には、懲役または罰金が課せられるおそれがあります。

役員運転手として働く人の中でも、仕事とプライベートをどちらも充実させたい人や、これまで残業が多すぎると感じていた人にとってはうれしい変化となります。

しかし、働き方によっては残業時間が削られることで、収入が減ってしまうという人も少なくないでしょう。

年間・月間の拘束時間が短くなる

改正改善基準告示では、残業時間のみでなく拘束時間にも制限をかけています。拘束時間は1か月あたり原則として284時間、最大で310時間です。

また、年間では原則として3,300時間までとなります。2024年3月以前と比べると、拘束時間は1か月あたり最大で10時間、年間で216時間減ることになります。

拘束時間の制限についても、ワークライフバランスを整えてプライベートの時間を大切にしたい人にとってはメリットとなりますが、人によっては収入が減るケースもあるでしょう。

休息時間が取りやくすくなる

役員運転手を含むドライバー業は、就業時間の概念が変則的です。ある日の業務終了時から、次の業務開始時までを休息時間として管理しています。

これまでは連続した8時間の休息時間の確保が必要とされていましたが、2024年4月以降は原則として11時間、条件によっては最低でも9時間の連続した休息時間が求められます。これまで休憩・睡眠が十分に取れないと感じていた運転手にとってはうれしい変化のひとつです。

また、この変更の背景には、運転手の睡眠・休息不足を原因とした交通事故の撲滅もあります。

役員運転手への2024年問題の対処法

2024年問題は、ワークライフバランスを整えられることや十分な休息が取れること、心身の健康を大切にできることなどのさまざまなメリットがあります。

一方で、多くの人が懸念しているデメリットとして、労働時間が減ることによる収入減少が挙げられます。労働条件と収入の変化をしっかりと把握したうえで、単価の変更などで収入をカバーするための対策を考えましょう。

料金の変更は、役員運転手のみでなく依頼主である企業側にも大きく影響する問題なので、慎重な対応が必要です。

まとめ

2024年問題とは、自動車運転業界における改正改善基準告示による残業時間の上限規制の導入です。役員運転手にも、当然影響を及ぼします。残業時間や拘束時間が制限されることで、ワークライフバランスの向上や健康維持が期待される一方、収入減少のリスクも存在します。

改正により、月間残業時間は45時間、年間360時間を超えないように制限され、違反すると罰則が科されます。拘束時間も月間最大310時間、年間3,300時間に制限されるため、プライベートの充実が図られる反面、収入減が懸念されているのです。

また、休息時間もこれまでの連続8時間から11時間(最低でも9時間)に延長され、十分な休息が確保されるようになります。役員運転手は単価の変更などを検討し、依頼主である企業とも協力して対策を講じる必要があります。

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