役員運転手の派遣と業務委託の違いとは?どちらがおすすめ?
役員運転手を自社採用で手配できない場合は、外部委託を検討する人も多いでしょう。役員運転手の外部委託は大きく「派遣」と「業務委託」に分かれますが、本記事では両者にはどのような違いがあるのか解説します。なお、ここでいう業務委託は正確には請負契約と呼ばれますが、本記事では便宜上「業務委託」と呼びますので、ご留意ください。
役員運転手の業務委託とは
企業がドライバーの所属する請負会社と業務委託契約を交わし、役員運転手を迎え入れるのが一般的な業務委託での進め方です。ここでは以下の2点に注意しましょう。
依頼した企業はドライバーに指示が出せない
基本的に業務委託では、請負会社に委託するのは運転と自動車管理業務のみであり、具体的なドライバーへの業務指示は請負会社が行います。
委託を依頼した側の企業が直接ドライバーに指示を出せないのが、ここでの大きな特徴といえるでしょう。
偽装請負だとみなされないように注意
なお、企業からドライバーへ指示を出してしまうと、偽装請負だとみなされ、法律に抵触する危険があるので注意する必要があります。
業務委託契約を結んでいても、ドライバーへ企業が指示を出してしまうと、雇用関係にあると判断されることも少なくないのです。
偽装請負だとみなされた場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課されることもあるのです。
しかし役員運転手はその業務上、どうしても企業側から指示した方がよい場面も多いでしょう。ただ指示を出してしまうことのリスクは、事前にしっかりと把握しておきましょう。
役員運転手派遣との違い
一方、派遣で役員運転手を迎え入れた場合は、派遣されたドライバーは依頼側の企業からの指示に従って業務にあたります。
企業側はドライバーへ指示を出さなければならない面もありますが、同時に買い物などの雑務を任せたり、勤務日時を交渉できたりする恩恵も受けられます。
状況に合わせてドライバーへ柔軟な指示を出せる分、仕事内容に変動の多い役員の仕事には、派遣で役員運転手を手配するメリットも大きいでしょう。
業務委託の役員運転手のメリット
とはいえ、業務委託で役員運転手を迎え入れるメリットもあります。代表的なものでいえば、以下のようなものが挙げられます。
質の高い運転手に出会える
自動車の運行代理を生業とする会社では、ドライバーを教育するノウハウが確立されています。
そのため運転技術に長けたドライバーに出会えるのはもちろん、ビジネスマナーやスケジューリング能力が備わっているドライバーも多く在籍していることがあります。
運転手の労務管理をする必要がない
企業が業務委託で役員運転手を手配する場合、そのドライバーの労務管理や業務命令は、業務委託契約を結んでいる請負会社が行うため、企業側の労力をカットすることができます。
つまり、企業は運転手の残業代や福利厚生の管理も行わなくてよいということになります。
また業務委託では、万が一事故が起こってしまった場合も、その責任は請負会社が負担することになります。一度委託を完了すれば、ドライバーにかかわる細かな事務作業の工数は、大幅に抑えられるでしょう。
役員運転手の業務委託契約の流れ
では最後に、業務委託契約で役員運転手を手配する際の大まかな流れを見てみましょう。
役員と一緒に多くの時間を過ごす運転手を決めるので、信頼のおけそうな請負会社を選べるとよいでしょう。
請負会社への連絡・打ち合わせ
まずは請負会社へ連絡を入れ、打ち合わせの日程を決めます。事前にいろいろな請負会社を調べ、安心できそうな会社を選べるとよいでしょう。
打ち合わせでは、具体的な予算や契約期間などを話し合います。合わせて役員からの希望を伝えておくと、後のトラブルやミスマッチを防げるため、積極的に伝えていきましょう。
そして請負会社から提示された見積もりをもとに業務委託するかを判断することになりますが、請負会社によっては、ドライバーと面接する機会を設けてくれる場合もあります。
役員運転手は、役員と長時間を共にするパートナーとしての役割も担います。面接を活用し、ドライバーの人柄やマナーに信頼はおけるかはしっかりと見極めたいものです。
ドライバーが会社の機密情報を漏らさない人物であるかも、重要なポイントになります。請負会社によっては、ドライバーの変更が可能な場合もあるので、打ち合わせの際に確認しておくとよいでしょう。
業務委託の締結・保険への加入
委託することを決断したら、書面にて企業と請負会社との間で、業務委託の締結を行います。
また、役員運転手を委託する際は、請負会社側で保険への加入が必須になるので、覚えておきましょう。すべての手続きが完了したら、決まった日取りで役員運転手を迎え入れ、業務開始となります。
まとめ
本記事では役員運転手の外部委託について、業務委託での手配を中心に解説してきました。業務委託では、質の高いドライバーに会える可能性も高く、彼らの労務管理をしなくていいといったメリットがあります。
ただ、一方で委託を依頼した企業からドライバーへの細かな指示はできないため、仕事内容や勤務日時を調整したいときに、融通が利かないといったデメリットもあります。
役員の仕事は、取引先との挨拶や接待なども多く、不規則になることも多いでしょう。そのため派遣で役員運転手を迎え入れ、柔軟に指示を出して動いてもらった方が、現場は上手く回るかもしれません。
派遣と業務委託、どちらの形態で役員運転手を募るのか、慎重に考えましょう。